僕が母校を忘れている間に、高校受験のプロセスは前期と後期という2段階制に変化をしていたようで、今年の出願状況も2回に別れて発表されていました。


熊本県教育委員会 平成23年度入学者選抜

平成23年度
熊本県公立高等学校入学者選抜における前期選抜等出願状況
[リンク先はPDFファイルです:26KB]

平成23年度
熊本県公立高等学校入学者選抜後期選抜出願者数
[リンク先はPDFファイルです:86KB]

美術科はというと、前期は募集の20名に対して45名の出願で倍率は2.25倍。後期は20名の募集に対して16人の出願で0.8倍です。先輩方からの情報によれば、実際には普通科受験生の中から第二志望で美術科へ入学する人も居る為、「事実上」定員割れにはならないそうです。

しかし、この教育委員会のホームページに掲載されている資料の数字が、再編計画に対して決してプラスに作用しないであろうことは容易に想像できるでしょう。


以下、やや悲観的すぎるかもしれませんが、僕なりの推測です。

例えば僕が美術科の存続を強く望んでいる第二高校の校長だったとします。先の熊本県教育庁高校教育課高校整備推進室からの回答では、「高校教育課高校整備推進室が関係高等学校と協議を行いながら案を作成する」ということになっていますから、僕は校長として推進室の方を説得しながら美術科を存続し普通科を1クラス削減する案を作成します。その案は県の教育委員会に提出され検討されることになりますが、その教育委員会の中に、県全体の進学率(中学から高校、高校から大学の双方を含む)を上げることを最重要課題とお考えの委員がいらっしゃったとします。手元の資料の倍率は普通科1.97、理数科1.60、美術科0.80です。僕が作成した案の資料が相当説得力のあるものでなければ、美術科に思い入れの無い委員が数値上定員割れを起こしている学科の存続に賛成されるでしょうか?ましてや、この議論の場に校長である私は参加できないのです。

僕は教育の現場の事はよく知りませんが、通常の組織で例えるなら、教育委員会の6名のメンバーは本社の経営陣で、校長の僕は一支店の店長なんじゃないかと推測しています。(教育現場の方、もし間違った見解であれば否定のコメントをください。) 支店では複数の事業を抱えていますが、本社からは採算のとれない事業を削減するように指示を受けていて年内の決定に向けて報告書を提出しなければなりません。そして報告書の要になるであろう数値的なデータは本社側でも把握しています。支店長の僕は、経営陣に対して一見不採算事業と思われるビジネスの存続を、どのようにアピールすれば良いのでしょうか?

上の例えがいたずらに不安を煽っているとしたらそれは本意ではありません。ただ、見方によってはそういう状況なので、冷静に事実を見つめながら美術科を応援する具体的な方法を考えたい…というのが僕の意図です。この問題に対して、歴史や人脈、卒業生(著名人/アーティスト)が発するメッセージなどによるアプローチもあると思いますが、残念ながら僕自身は地元や同窓生の皆さんとの人脈も薄く、作家でもありませんから、逆に「不採算事業は即リストラ」という外資系のドライなビジネス環境で学んできた「客観的で数値化/文書化できるアプローチ」を模索していきたいと思っています。

また、複数の方から「美術科存続の件はすでに心配無い」とのお声もいただいておりますが、当ブログでは熊本県教育庁高校教育課高校整備推進室からの回答にあった「最終決定者」である県教育委員会からの正式な回答なり資料を確認するまでは、「廃止の可能性有り」として「美術科廃止反対」の立場でアクションを継続したいと考えています。


勿論、このブログを含めて僕の心配が無駄であることを祈ってます。