熊本県立第二高等学校 美術科卒

熊本県立第二高等学校の美術科卒業生が、母校や卒業生、在校生を思い書き綴るブログ。

2011年02月

「公開質問状」に関するまとめ

【背景】
別の掲示板の書き込みで「美術科廃止」の噂があることが分かる。その後、複数の方からの情報で、以前から何度もそのような話があるものの、現時点では「校長先生が大丈夫だといっている」、「今は心配ないらしい」といった状況であることがわかる。しかし、これらの情報は客観的に美術科廃止を否定するものでは無いため、「噂」の真相を確認する必要があると判断した。


【アクション】
「美術科廃止」の噂に関連した情報を検索したところ、熊本県教育委員会が「県立高等学校再編整備等基本計画」という、県下の高校の再編計画を進めていることが分かった。同計画は基本的には少子化対策として学校を統廃合する計画であるが、その計画の中で「県立高校適正規模の上限の目安に近づけていくために、1学年10学級の学校(済々黌、熊本、第二、熊本工業高校)については漸次9学級まで学級数を削減、平成24年度以降の学級減を検討する」と記載されており、第二高校を10クラスから9クラスへ削減することが明言されている。美術科廃止の可能性について県教育委員会の正式な見解を得ることで「噂」の実情が正確に把握できると考え、公開質問状を送付し回答を得た。


【質問と回答】
計3回の質問で以下の回答を得た。
A.は熊本県教育庁高校教育課高校整備推進室からの回答(原文のまま)。


Q.1
回答期限の2月7日時点で、この学級数減の方針は決定事項か?それとも継続審議事項か?

A.1
決定事項です。熊本県教育委員会では、「県立高等学校再編整備等基本計画」策定に当たり、地域説明会、関係機関などへの意見照会、パブリック・コメント、熊本県議会などで幅広く御意見をお伺いし、平成19年10月に決定いたしました。


Q.2
1の回答が決定事項、継続審議事項のいずれかに関わらず、第二高校の学級減において削減の対象は普通科のみか?それとも理数科、美術科など専門性を重視した学科も削減対象か?

A.2
どの学科の学級数を削減するかにつきましては、未定です。


Q.3
理数科、美術科が学級減の対象に含まれない場合、その事を公的に保証する文書はあるか?無い場合は適当な文書に追記、または文書を作成することは可能か?

A.3
回答(2)のとおり、どの学科の学級数を削減するかにつきましては、未定ですので、質問(3)につきましては、回答できません。


Q.4
削減対象の学科を決定するプロセスと、最終決定者は?

A.4
高校教育課高校整備推進室が、関係高等学校と協議を行いながら案を作成します。その後、案が熊本県教育委員会(6人の委員で構成)で審議され、異議等がなければ、決定されるという流れです。


Q.5
削減対象の学科を決定する具体的なスケジュール(以下)は?

1.高校教育課高校整備推進室が関係高等学校と協議を行い案を作成する時期、期間、
 またはその案の教育委員会への提出予定日
2.熊本県教育委員会による案の審議時期、期間、審議開催日
3.削減対象学科の決定予定日

A.5
大規模校の学級減については、「県立高等学校再編整備等基本計画」に基づき、平成27年度までに行う予定ですので、御質問のありました点につきましては、すべて未定です。


【僕の見解】
学級数減の方針は確定であることが分かりましたが、そこに美術科が含まれる可能性は結局の処分かりません。校長先生のお人柄などから「心配無用」というご意見もありますが、県からの回答をみるかぎり文字通り「未定」と捉えるべきじゃないかというのが僕の意見です。また、最終決定にむけて学校側が関与できるのは「削減案」の作成だけですから、どの学科を削減するかを決めるのは校長ではなく、最終判断をするのは教育委員会のメンバー(6名)である点を理解しておいた方が良いかも知れません。さらにそれらを決めるタイミングについても平成24年度以降27年までに実施…という事以外明確になっていませんので、どれくらい猶予のある話しなのかも正確には分かりません。この事案が「美術科が2クラスに増えるかも知れない」というポジティブな話であれば楽観視をすることに何の異論もありませんが、「もしかしたら廃止されてしまうかも」という大事な問題ですから、不確実な情報で中途半端に一喜一憂せず、きちんと公的な情報を確認しながら正確に判断をすべきだと感じています。

再々質問に対する回答をいただきました

本日夕方、熊本県教育庁高校教育課高校整備推進室から返信をいただきました。前回同様、ご担当者様に感謝致します。

以下、私の個人名以外はすべて原文のまま掲載します。

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件名:Re: 公開質問状:「県立高等学校再編整備等基本計画」について(再質問)]
差出人:高校教育 @
送信日時:16:15

○○○○様 遅くなりましたが、次のとおり回答します。
大規模校の学級減については、「県立高等学校再編整備等基本計画」に基づき、平成27年度までに行う予定ですので、御質問のありました点につきましては、すべて未定です。
なお、御不明な点については、電話でお問い合わせください。
熊本県教育庁高校教育課高校整備推進室 096-333-2684

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結論から言えば、「県立高等学校再編整備等基本計画」に関連した学級減は、教育委員会のホームページにある資料に記載されている平成23年度からではなく、平成27年度までに行うというスケジュールだそうです。「平成27年度から」でないところが曖昧ですが、とりあえず現時点で、明確なスケジュールは見えていない(もしくは教えてもらえない)という結果でした。
僕はひねくれた性格の人間なので、「平成27年度まで」って、計画の動向をチェックしておかなければならない期間が長くなっただけで、来年から実施されても文句も言えないじゃないか!?と思ってしまいましたが、まぁ、場合によっては教員の人事にも影響のある話ですから、部外者においそれと伝えられない…という部分もあるんじゃないかと推測しています。

いずれにせよ、スケジュールは未定とのことですから、若干、切迫感は払拭できたのかも知れませんが、計画が実際に動き出すまでに、自分にできる具体的な行動を考えてみたいと思っています。

ちなみに、これまでの返信にも問い合わせ先の電話番号が記載されていましたが、今回の返信では明確に「質問は電話で」と書かれています。個人的には後々「言った、言わない」の問題が発生しそうな手段で問い合わせをするのはお互いに不利益こそあれど、利益は無いと思っていますので、仮に今後、質問をする場合があっても、メールで問い合わせをさせていただきたくつもりです。

公開質問状:「県立高等学校再編整備等基本計画」について(再質問)]

先の再質問に関し、回答期限の24日(昨日)までに回答をいただけませんでしたので、以下の通り催促のメールを送付させていただきました。今回の回答期限は2月28日(月曜)です。

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熊本県教育庁高校教育課高校整備推進室
ご担当者殿

度々申し訳ありません。2月17日付けで以下の通り質問をお送りし、回答期限を24日とお願いしておりましたが、本日までに回答をいただいておりません。お忙しいところ大変恐縮ですが添付の質問を今一度ご確認いただき、回答をいただければと思います。質問では具体的な予定日をお伺いしておりますが、日にちが確定していない場合は「○月初旬/中旬/下旬」などのようにおおよその時期でも結構です。

前回同様、当質問内容は私が管理するブログ(http://blog.livedoor.jp/kumamoto_daini/)で一般に公開し、お答えいただいた内容も、そのまま関係者へ情報提供すると共に同ブログに掲載させていただきます。なお、勝手ながらこの催促状の回答期限は来週月曜(2月28日)とさせていただき、期日までに回答を頂けない場合は「ご回答の意志がなく、公開質問を拒否された」ものと判断させていただき、返答が無かった旨を貴委員会からの回答と代えさせていただきますのでご了承ください

以上、お忙しいところお手数をおかけしますが宜しくお願い致します。

○○○○

-------- Original Message --------
Subject: 「県立高等学校再編整備等基本計画」について(再質問)
Date: Thu, 17 Feb 2011 01:30:35 +0900
From: kumamoto_daini
Reply-To: kumamoto_daini
To: 熊本県教育庁高校教育課高校整備推進室



熊本県教育庁高校教育課高校整備推進室
ご担当者殿


先日よりメールにて問い合わせをさせて頂いている○○です。先週末の12日に以下の内容のメールを送付差し上げましたが、内容に不備がありましたので、改めて問い合わせさせて頂きます。何度も質問をくり返してお手数をおかけしますが、宜しくお願い致します。


先日よりメールにて問い合わせをさせて頂いている○○です。今回も、ご回答いただきありがとうございました。何度も質問をくり返してお手数をおかけしますが、私のブログの読者の方からも、さらにもう一点確認をすべきとのメッセージをいただきましたので、以下、追加質問をさせてください。

■質問

( 1 ) 削減対象の学科を決定する具体的なスケジュール(以下)を教えて下さい。

1-1.高校教育課高校整備推進室が関係高等学校と協議を行い案を作成する時期、期間、またはその案の教育委員会への提出予定日

1-2.熊本県教育委員会による案の審議時期、期間、審議開催日

1-3.削減対象学科の決定予定日


前回同様、当質問内容は私が管理するブログ(http://blog.livedoor.jp/kumamoto_daini/)で一般に公開し、お答えいただいた内容も、そのまま関係者へ情報提供すると共に同ブログに掲載させていただきます。誠に勝手ながら回答期限は約一週間後の2月24日とさせていただきます。

以上、お忙しいところお手数をおかけしますが、ご回答宜しくお願い致します。






回答期限

前回も回答期限に設定した日に返事をいただきましたが、今回も、今現在、まだ回答をいただいていません。ちょっと不安な気もしますが、一応、お役所の定時あたりまでは待ってみたいと思います。

熊本県教育庁高校教育課高校整備推進室のご担当者様、今回もぜひ、宜しくお願い致します。

客寄せパンダ

東京芸大に隣接する上野動物園に2年半ぶりにパンダがやってきました。さんざん報道されているようですから皆さんもご存じだと思いますが、年間のレンタル費用は1頭4000万の2頭で8000万。10年間8億円の契約が結ばれているそうです。また、このパンダ受け入れにあたり、上野動物園ではパンダの宿舎を9000万かけてリフォームするなど、巨額の費用がかかっているそうです。そうなると当然湧き上がるのは「パンダ不要論」。どこかで聞いた話題とも似ているような…(苦笑)

実際、マスコミだけではなく、インターネット上の掲示板などでもいろんな意見や議論があるようですが、ここでは私個人の思いを綴ってみたいと思います。(まぁ、毎度の事ですが、興味の無い方にとってはどうでもいい話ですね…。)

この議論を難しくしているのは「上野動物園=パンダ」の図式ではないかと思います。この図式にどれくらいの価値があるのかが誰にも判断できないからだと思います。

今でこそ、国内の他の動物園でもパンダは飼育されていますが、日本で初めてパンダを飼育した動物園といえばやはり上野ですから、関係者や近隣の方のみならず多くの方が「パンダのいない上野動物園なんて…」と考えられるでしょう。ここ数年、上野動物園はその大切な「記号」を失っていた訳ですから、年間8000万(1日あたり22万程度)の費用は、費用対効果を考えれば大したことは無い…。そういう意見も多くあるようです。確かに、パンダによる集客力は有る程度期待できるでしょうし、そもそも、パンダ無しで来園者が減少傾向にあった動物園や関係者、近隣で商売をされている方々からすれば救世主とも言えるでしょう。

しかし、自分なりに考える際に他にも考慮すべき情報がありそうなので調べてみました。

・日本にはすでに和歌山に8頭、兵庫に1頭のパンダがいる
・上野以外のパンダもすべてレンタルで、日本が中国に払っているパンダのレンタル費用は年間5億円以上?
・自然死以外の原因で死亡した場合は1頭あたり50万ドル(4000万強)の賠償金の支払い義務
・どちらか片親でも中国籍の場合、中国国外で生まれた子パンダも中国籍なのでレンタル費用が発生
・「パンダ外交」とも呼ばれ、しばしば外交策として利用されている
・そもそもパンダはチベット地域に生息していた動物である(中国原産の動物では無い)という説がある

この手の問題には正解も不正解もありませんから、結論を出そうなどと大それた考えはありませんが、いろんな条件を勘案すると、投資をする方向を誤ってはいないかと心配になります。今の上野動物園で、パンダとはそこまで費用をかけてまで飼育する価値のある動物なのでしょうか?(動物の命の価値ではありませんよ。レンタル費用を払ってまで展示する価値です。)

東京の活性化という点では、経済効果は入場料だけではなく、近隣の飲食店や土産物屋、ホテル、交通などもろもろで800億くらいの効果があるそうですから魅力的です。但し、その為には未来永劫、中国にレンタル費用を払わなければなりません。都民の方で直接的に利益を享受できない方々はどう活性化されるのでしょう?また、動物園の使命の一つとして、生態などの研究活動がありますが、日本の動物園でパンダを重要視する必要があるでしょうか?中国本国には大規模なパンダの飼育研究施設もありますし、和歌山のアドベンチャーワールドの方が1歩も2歩も先を進んでいるようですから、そこに必然性を見いだすのはなかなか難しそうです。

動物園のあり方…という点ではどうでしょうか?国内有数の人気動物園「旭川動物園」は、行動展示という切り口で経営難から脱出し、一時は20万人台まで落ち込んだ入場者数も、今や上野動物園に匹敵する300万人越え。その勢いはまだ衰えず、行動展示だけではなく、混合展示などの新しいコンセプトによる展示方法を模索することでリピーターをも確保しているそうです。上野動物園は第二、第三の旭川動物園にはなれないのでしょうか?

上野動物園の関係者のみなさんも必至で頑張っていらっしゃるでしょうから、僕が偉そうに批判をするのも恐縮ですが、パンダに固執する今のやり方をみると、どうも過去の経験や歴史のしがらみに捕らわれて変化できない古い体質のような気もします。「パンダといえば上野動物園」という歴史が邪魔をしてパンダ神話から抜け出せず、いまだに客寄せパンダ頼みになって、未来に向けた新しいビジョンが見つかっていない…ということはないでしょうか?


なぜこのブログでこの話題を拾ったかというと、先の定員割れの情報を目の当たりにして、(誠に僭越ながら…)美術科にももしかしたら同じような問題があるんじゃないか?と考えたからです。

世の中が全体的に少子化へ向かう中で、美術を志す若い生徒をどのようにして確保していくのか?確保した生徒にどのような美術教育を施せるのか?卒業生はどのような進路へ進み、どのような活躍で社会や日本、人類に貢献するのか?そして、そういう教育の場である美術科は、県立高校の一学科としてどのように評価され、どのように変わっていくのか?(または変わらないのか?)

もちろん、根底には「美術/芸術を愛する心」があるでしょうが、今やそこから派生する専門分野の広がりは、単に絵画や彫刻といった純粋芸術の枠を越えて、より産業に近い部分にも広がっています。旭山動物園が「行動展示」という新しいアプローチを見いだしたように、そのような新事実をもっと広く一般の方々にも知って頂き、より広い範囲で「美術/芸術」に興味を持って頂くようなアプローチはないでしょうか?美術科の功績を語る時、いわゆる著名な芸術家の方々の露出を高めるアプローチは非常に有効ですが、そこが強調されてしまうとその分野に興味の無い人を遠ざける結果にも繋がる恐れがあるんじゃないかという気もします。ストレートに言えば、「芸術家になっても食っていけるのはほんの一部じゃないか?」という短絡的な考え方をする学生や親が受験を躊躇しているのではないか?ということです。

例えば、同じ第二高校の専門学科である理数科は、国のSSH(Super Science Highschool)指定を受けるなど、外部から見た場合(実際にどうかは分かりませんが…)将来の理数科学分野における研究者などの輩出を目標としているように見えます。SSH事業自体の是否はさておき、国の補助を受けることで普通高校では体験できない経験を積むことができ、さらに推薦、AO入試にも有利となれば志望者や在学生のモチベーションも、保護者をはじめ周りの期待も高まるでしょう。

確実に人々の注目を集める「客寄せパンダ」は、それ自身に価値もあり成果をもたらす存在でしょうが、それ以外にも未来へ向けた新しいビジョンを持って変化して行かなければ、今後さらに飛躍をすることは難しいのかもしれない…という気がします。


※文章上、「芸術家=客寄せパンダ」ととれる部分がありますが、単純に「人々の注目を集める手段として利用/活用される存在」という意味でのみ使用しており、作家/芸術家として活躍されている方々を揶揄する意図はまったくありませんのでご理解/ご容赦ください。
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